2019年7月13日土曜日

第20回子ども脱被ばく裁判報告と感謝


子ども脱被ばく裁判につながるみなさま

 7月9日に開かれた第20回子ども脱被ばく裁判の報告をお届けします。ご都合をつけて裁判にご参加くださった県内や近県、関東や関西から支援者約40名のみなさまに感謝申しあげます。午前中は原告・横田麻美さんのヨーロッパ巡回講演報告、モニタリングポストの継続配置を求める市民の会共同代表・片岡輝美さんからモニタリングポストの当面継続配置に至る報告がありました。
 横田さんは3月10日から約3週間、フランスを中心に市民団体や高校大学、イギリス議会院内集会などで18講演を行い、東電福島第一原発事故から2年後、北海道の高校に進学したご子息の決意、福島に留まる母親の思いを伝えました。今回の巡回講演はご子息を主人公とする漫画がフランス語で出版され学校図書となった経緯から実現したものです。どの会場でも質問が多くあり、福島原発事故被害を自分のこととして考える市民・学生の姿が印象的だったとお話されました。
 片岡さんはモニタリングポスト(MP)2400台の当面継続配置を引き出したのは住民、特に各地の母親たちであることを報告。日常的に数値を確認している自分は撤去されることを不安に思っていたが、阻止されたことにとても安心したと感謝を伝えてきた中学生や、子どもにこそ環境放射線量を知る権利があると訴えた母親の言葉を紹介しました。しかし方針変更後の第4回原子力規制庁交渉では「MPの適正化」を巡って見解の相違が露わになりました。市民の会は適正化は台数の削減ではなく配置場所の変更と考える一方で、事業主である原子力規制委員会の判断によっては台数を減らすことはあり得るとの説明があったからです。市民の会は国の責任として廃炉までMP継続配置を求めていくと締めくくられました。

 福島地裁前では支援者のアピールが続いた後、武藤類子さんから国家公務員宿舎から退去できない63世帯に、福島県は家賃2倍の損害金請求を発送した情報が報告されました。県民に対する懲罰とも言える行為に非難の声があがりました。事前協議で証人尋問の日程調整に時間がかかり、午後2時30分からの開廷は30分以上遅れて始まりました。意見陳述をした原告は時折涙で声が詰まりながら、8年間の後悔や不安を法廷で語りました。「できれば裁判などには関わりたくありません。しかし、自分の子どもだけでなく子ども達皆を大切に守っていく社会になってもらうためには声を上げることができる親が声を上げないといけないと思います」と結びました。裁判の内容については弁護団報告をご覧ください。

 裁判後の記者会見や意見交換では活発なやりとりがありました。特に弁護団からは担当裁判官が放射性微粒子や内部被ばく問題に積極的に取り組む姿勢が見られるとの報告があり、さらにいよいよ証人尋問に入っていく期待感と緊張を誰もが感じました。子ども脱被ばく裁判の会は9月から始まる証人尋問に備え100万円緊急カンパを呼びかけます。6名前後の科学者・医師を証人として招く時に必要な証拠作成、交通費、宿泊費の費用を捻出するためです。ぜひこの裁判を広め、多くのご協力をいただけるようにみなさんのお力を貸してください。最後になりますが、今回裁判所に提出された署名数は4545筆。総計は73959筆になります。全国からのご協力に深く感謝致します。次回期日は10月1日(火)午前10時10分からの開始。午前と午後に証人尋問が行われます。その後は11月13日、12月19日、1月23日、3月4日になります。山下俊一氏の証人尋問は3月4日に実施される見込みです。引き続きのご支援をお願い致します。
子ども脱被ばく裁判の会



2019.7.9 子ども脱被ばく裁判第20回口頭弁論期日報告
弁護団長 井戸 謙一

1 原告側は準備書面73を提出しました。この準備書面は、被告国の準備書面12(低線量被爆の健康被害について述べたもの)及び準備書面13(内部被ばくについて述べたもの)に対する反論を内容とするものです。

2 被告国は次の2通の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面14
  福島第一原発周辺の土壌には福島原発事故由来のプルトニウムが存在するが、その量がわずかであるので、健康上のリスクはないというもの
(2) 準備書面15
  子どもの放射線感受性が大人よりも高い前提で放射線防護対策がとられているが、低線量被ばくにおいては、高いという科学的根拠はないことを述べたもの

3 被告郡山市、田村市、福島市、会津若松市は、低線量被ばく及び内部被ばくについては被告国の主張を援用する(国の主張するとおりなので独自の主張はしない)との内容の準備書面を提出しました。

4 原告側は、7人の証人尋問申請書を提出しました。その採否について、最終的な決定は留保されましたが、郷地秀夫氏、河野益近氏、山下俊一氏については証人尋問を実施する方向であることが確認されました。

5 いよいよ次回からは、証人尋問が始まります。引き続きご支援をお願いいたします。

次回期日は10月1日(火曜日)午前10時10分に開始され、午前、午後実施されます。
以上


第20回子ども脱被ばく裁判 原告意見陳述  2019/07/09

 本日は、意見陳述の機会を与えていただき、ありがとうございます。
 私は、福島県二本松市内の自宅で、夫、二人の子ども、夫の母の5人で生活しています。上の子は既に成人していますが、下の子は、現在9歳で、福島原発事故当時は誕生日前の乳児でした。夫は、サラリーマンであり、私は、主婦として家庭にいます。
 2011年3月11日の大地震で、自宅建物は少しひびが入りましたが、私たち家族は、そのまま住み続けていました。その後、福島第一原発で爆発が続きましたが、私は、原発とは距離があったし、行政から何の指示もなかったので、危機意識を持つこともなく、それまでと変わらない生活をしていました。幼い二男を連れて買物等のために外出もしていました。その後、知人から被ばくの怖さを聞いたり、講演会に出かけたりする中で、被ばくによる健康リスクについて徐々に知識を持つようになったのです。
 幼い二男の健康が心配になり、条件が許せば避難もしたいと思いましたが、夫には仕事があるし、母子だけの避難には踏み切れませんでした。その代わり、数日間福島を離れるというプチ避難を何度もしました。春、夏、冬には、沖縄や北海道等の市民団体を頼って、必ず二男を保養に連れ出しました。
 夫は、当初は、「国が大丈夫だと言っているのだから大丈夫だろう。」という考え方でしたから、夫婦間で、プチ避難や保養に関して、何度も揉めました。その後、講演会に参加してもらったりする中で、夫も少しずつ理解をしてくれるようになりました。
 二男は、甲状腺に小さな嚢胞の存在を指摘されたことがあります。また、福島原発事故から2~3年経過したことから、絶えず鼻水を出すようになりました。しばらく様子を見ていましたが、よくならないので、平成26~27年ころ、病院で診察を受けさせたところ、「蓄膿症」と診断されました。一時期投薬治療を受けましたが、湿疹がでたこともあって、現在は投薬をやめています。症状は改善されていません。二男が蓄膿症になった原因は分かりませんが、被ばくも原因ではないのかという思いを捨て去ることができません。また、二男には、外遊びをあまりさせなかったので、二男自身が外に出たがらないようになってしまい、その点でも不憫に思います。
 今でも、私の自宅付近では0.2マイクロシーベルト程度の線量があり、安心できる数値ではありません。地元の食材は使わない、洗濯物を外に干さない等の配慮は今でも続けていますが、ご近所の方や知人と被ばく問題について話をすることは、しづらい雰囲気になってしまいました。
 福島原発事故前、私は、被ばく問題について全く知識がありませんでした。原発事故が起こった後も、当初の1か月くらいはほとんど警戒心をもっておらず、何の防護対策もしていませんでした。安定ヨウ素剤のことも知りませんでした。私が、自宅周辺の空間線量の数値をはじめて知ったのは、2011年の5月か6月になって、市の広報を見たときだったと記憶しています。しかし、マイクロシーベルトの数値を見ても、当時は、その持つ意味が分からず、危険か安全かの判断もできませんでした。
 私は、福島原発事故当初の約1か月の間に二男に無用な被ばくをさせてしまったのではないかと心配しています。このころは買物等に二男を普通に連れ出していました。二男はまだ母乳を飲んでいましたので、母体が栄養をつけなければいけないと思い、出荷停止になっていた牛乳をもらって毎日のように飲んでいました。当時私は、牛乳が出荷停止になった意味さえ分かっていなかったのです。母乳に放射能が含まれていたのではないかとの不安は尽きません。将来、二男に被ばくによる健康被害が生じたら、悔やんでも悔やみきれません。
 私は、今でも長期の休みには二男を保養に行かせています。子供たちにはまだまだ保養が必要だと思いますが、行政が保養について全く協力してくれないので、保養に関する情報が若いお母さんたちに拡がらないのが残念です。
 私は、行政が、「安全、安全」というのではなく、事故直後から、線量とその数字が持つ意味を住民に正しく伝え、住民一人一人が被ばくを避けるための援助をするべきだったと思います。そして、せめて自宅の除染が終わるまでの間、行政の責任で避難させてほしかったと思います。
 私は、自分が裁判の原告になるなど、思ってもみませんでした。できれば裁判などには関わりたくありません。しかし、自分の子どもだけでなく、こども達みなを大切に守っていく社会になってもらうためには、声を上げることができる親が声を上げないといけないと思いました。裁判官の皆様には、子どもたちの健康を守るという最も大切な義務を怠った国や福島県の責任をはっきりと認めていただきますようお願い致します。

以 上

2019年6月12日水曜日

【お詫びと訂正】リーフレットの携帯電話番号に誤りがありました

みなさま

子ども脱被ばく裁判の会リーフレットの携帯電話番号に誤りがありました。
お詫びして訂正します。

誤)080−5520−4979
正)080−5220−4979

第20回子ども脱被ばく裁判のご案内(2019年7月9日)

子ども脱被ばく裁判原告、支援者のみなさま

 日頃より、子ども脱被ばく裁判をご支援くださりありがとうございます。第20回裁判のご案内です。午前中のプログラムでは二つの報告を行います。一つ目は原告・横田麻美さんの報告です。横田さんのご子息は東電福島第一原発事故後から2年後、避難を希望し北海道の高校へ進学。その経験がフランス語の漫画となり、この3月に推薦図書としておかれたフランス国内の小中高校10箇所以上でお話をしてきました。ヨーロッパ各地で行われた市民団体主催のお話し会を加えると25箇所になります。同行した森松明希子さん(原発賠償関西訴訟原告団代表)との対談や子ども脱被ばく裁判など各地で訴えたことをお話していただきます。
 二つ目は、昨年3月の原子力規制委員会によるモニタリングポスト大量撤去方針を受け、継続配置を求める各地の市民の声と共に原子力規制庁と交渉を重ねた末、「当面の存続」との方針変更を引き出した市民の活動を、片岡輝美さんが報告します。
 裁判の争点は下記の「弁護団から」をご覧ください。今回の裁判で主張のやり取りと原告による意見陳述が終わり、次回から証人・本人尋問に入ります。日程は10月1日(火)、11月13日(水)、12月19日(木)、1月23日(木)、3月4日(水)です。詳細は追ってご案内しますが、いずれも午前9時からの開廷と思われます。備えのために多忙を極める弁護団と原告団を支え、公正なる裁判を目指していきましょう。さらなる署名やカンパのご協力をお願い致します。小児甲状腺ガン発症者数をアップデートした新「第3回署名用紙」はブログに掲載されています。7月3日頃までに、井戸弁護士事務所までお届けください。
https://drive.google.com/file/d/10IT12458gFKYmAgETR7pexhDsBXFAzID/view

子ども脱被ばく裁判の会 原告代表 今野寿美雄
共同代表 水戸喜世子 片岡輝美


◆第20回子ども脱被ばく裁判プログラム◆
■日時:2019年7月9日(火)午前11時から午後5時まで
■会場:福島市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号 ℡024-535-0111
    福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
■日程
11:00 開会のあいさつ・署名報告
11:10 報告1 ヨーロッパ巡回講演報告  横田麻美さん
11:50 報告2 モニタリングポスト継続配置を求める活動報告 片岡輝美
12:30 昼食と休憩
13:15 地裁へ移動開始
13:45 地裁前集会
14:00 傍聴券配布
14:15 入廷
14:30 開廷・意見陳述
15:30 閉廷
16:00 記者会見
16:15 本日の裁判と今後について意見交換
16:45 閉会のあいさつ

■弁護団より
1 前回、被告国は、子ども達が受け、これからも受けるであろう低線量被ばく、内部被ばく、とりわけセシウム含有不溶性放射性微粒子による内部被ばくによって生じる健康影響について、いずれも心配ない旨の準備書面を提出しました。今回、原告側は、被告国のこの準備書面に対する反論を内容とする準備書面を提出します。
2 これによって、主張のやり取りは一段落となり、第21回口頭弁論期日から尋問に入ります。原告及び被告らの双方から、証人尋問、本人尋問の申請をし、裁判所が採否を決定し、尋問のスケジュールが決められます。
3 引き続き、ご支援をお願い致します。

2019年5月22日水曜日

第19回子ども脱被ばく裁判報告と感謝

子ども脱被ばく裁判の会につながるみなさま

 第19回子ども脱被ばく裁判が去る5月15日に行われました。県内や近県だけでなく関東や関西、九州からも支援者50名が駆けつけてくださいましたこと、深く感謝申し上げます。またフランスのテレビ局クルーも取材で参加。来年の3月に予定されている番組「核の歴史」で子ども脱被ばく裁判が取り上げられます。

 午前中の学習会では「放射能測定マップを読み解く」と題して、認定NPO法人ふくしま30年プロジェクト・清水義広さんにお話をしていただきました。「みんなのデータサイト」は2012年に企画が始まり、3年を掛けて延べ4千人の市民が3400箇所の土壌採取と測定を行われました。6年の歳月を掛けた食品測定データも合わせた集大成として「図説17都県放射能測定マップ+読み解き集」を2018年11月に出版。今も大きな反響が続いています。清水さんは東日本各県や静岡県や長野県に広がる土壌汚染の状況や気になる食品の状況などを分かりやすく説明しながら、事実を淡々と伝えてくださいました。
 「図説17都県放射能測定マップ+読み解き集」は膨大な測定結果と共にチェルノブイリ原発事故との汚染や権利・移住の権利の比較、年間20mSVや甲状腺ガン発症の問題などの資料も豊富です。脱被ばく実現ネットブログに公開されている清水さんのお話と照らし合わせながら、ぜひ読んでいただきたいと思います。
 お話のなかでコシアブラの汚染状況に触れました。実は裁判終了後、私・片岡は共同代表の水戸喜世子さんら支える会西日本のメンバー4名を会津若松にお連れしました。夕食は会津郷土料理の居酒屋へ。店主が「今日はおいしいコシアブラが入っている」と薦めてくれました。もちろん即座に断りしましたが、学習会で聞いた直後だっただけに、市民には全く伝わっていない現実に驚きを隠せませんでした。また読み解き集は福島県外での購入やメディアの取り上げが多いが、福島県内のメディアは取り上げず購入数も少ないとのこと。「事実を知りたくない、知ろうとしない」地元の思いも見えてきました。

 午後には井戸謙一弁護団長から「本日の焦点」の説明があり地裁前に移動。小雨が降る中、支援のアピールが続きました。この日の法廷も原告の意見陳述がありました原発の爆発があって、避難しようにも情報が隠されていたので、どの方角に逃げたらいいのかが分からなかった。結局住んでいたいわきの線量よりもさらに高い中通り北部に避難してしまった為に子どもに過剰な被ばくをさせてしまった無念が語られました。裁判の内容や報告、今後については、弁護団からの報告をご覧ください。

 裁判の振り返り集会で、ひとりの女性が福島駅前で、脱被ばく実現ネットのみなさんが配布されていた裁判のチラシを受け取ったことから初参加をしたと発言。参加理由はお孫さんが甲状腺ガンを発症したからです。国や県が被ばく防護を疎んじたことへの怒り、発病が原因で就職も困難であったことへの苦しさを述べてくださいました。見えない放射能被害に立ち向かうには、人々がつながっていくことが不可欠です。今回、裁判所に提出された「公平な裁判を求める署名」は6,821筆!総計で69,414筆となりました。国内では生協などの団体から力強いご協力を、またヨーロッパで子ども脱被ばく裁判を訴えた原告に共感した市民の協力をいただきましたこと、感謝致します。まさに、人と人が繋がっている力を実感しています。

子ども脱被ばく裁判は不溶性放射性セシウムによる内部被ばくを取り上げた初めての裁判です。その裁判もいよいよ佳境へ入って来ました。10月からは証拠調べ期日が5回(10月1日、11月13日、12月19日、1月23日、3月4日)続きます。通常は3回程度とのこと。裁判官の意気込みが感じられます。次回第20回裁判は7月9日(火)福島地裁で行われます。傍聴席を満席にして弁護団原告団を応援しましょう。
片岡輝美



2019年2月26日火曜日

第18回子ども脱被ばく裁判報告と感謝



第18回口頭弁論期日報告

弁護団長 井戸謙一
1 今回、原告側は次の5通の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面65 
南相馬市立総合病院が公表した「患者数」について、その意味内容を同病院自身がホームページで公表した内容を紹介し、それを前提としても疾病が増加傾向にあることを指摘するとともに、健康被害の状況について慎重な観察と検討が必要であることを指摘したもの
(2) 準備書面66
低線量被ばく、内部被ばくについての原告の主張に対する国及び福島県の認否に対し、再反論、再批判を加えたもの
(3) 準備書面67
LSS14報を巡る議論の混乱の原因が、同論文がモデル選択を完遂しなかったことにあることを指摘し、これを完遂すれば、LNTモデルが最も当てはまりの良いモデルであることを主張するとともに、LNTモデルの射程は外部被ばくに止まり、内部被ばくには及ばないこと、原爆被害者の健康被害も、放射性微粒子による内部被ばくを考慮しないと説明できないことを指摘したもの
(4) 準備書面68
国は「LNTモデルは科学的に実証されていない」と主張しているが、これは誤りであり、科学者が証明しようとしてきたのは閾値の存在であり、いまだに閾値が存在することが証明されていないことを指摘したもの
(5) 準備書面69
福島県の甲状腺検査サポート事業で医療費を受給した患者の数を考慮すると、福島県内における小児甲状腺患者の発生数は少なくとも273人に及ぶことを指摘し、小児甲状腺患者発生の実態を把握、公表しようとしない福島県の対応を批判したもの

2 被告側は、いわき市から簡単な準備書面が出ましたが、被告国からは準備書面は提出されませんでした。不溶性放射性微粒子についての国の主張は、次回に提出されるものと思われます。

3 裁判所は、本件訴訟の中心論点が内部被ばく、とりわけ不溶性放射性微粒子による内部被ばくの問題であるという認識を示し、原告側に対し、原告の多岐にわたる主張におけるこの問題の位置づけを明確にするように求めました。そして、次々回には主張整理を終えるとともに、人証の採否を決定し、次々々回からは、証人尋問に入りたいという意向を示しました。

4 裁判所は、内部被ばくの問題について本腰をいれて取り組もうという姿勢を示され、勇気づけられました。次回口頭弁論期日は5月15日午後2時30分、次々回は、7月9日午後2時30分と決まりました。いよいよ、秋からは証人尋問に入ることになりそうです。

以上
第18回子ども脱被ばく裁判期日報告
共同代表 片岡輝美
第18回子ども脱被ばく裁判期日の2月20日、福島市・ラコパ福島には福島県内だけでなく宮城県や関東、関西からの支援者40名が集まりました。

 午前中の学習会では「日本政府は放射能ゴミをどのように処理しているか」をテーマに、和田央子さん(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)から以下のような報告を受けました。

 除染された草木など可燃物を焼却する仮設焼却炉は県内に28基。相馬市、広野町、富岡町、葛尾村、浪江町など福島県内18市町村に一兆円以上を投入して建設され3〜5年程度で解体される。その受注業者は原発メーカーとゼネコンであり、原発建設、除染、廃棄物処理、廃炉、中間貯蔵施設、復興事業で同じ大企業が儲けている現実が見えてくると指摘。国の責任で処分する指定廃棄物のうち8000から10万ベクレル/㎏のものは富岡町の管理型処分場に埋め立て処分となる。除染土や10万ベクレル/㎏を超える焼却灰は中間貯蔵施設へ移送され、「復興資材」として再利用されること、再利用の際に回収された放射性セシウムの濃度は最終的に数十億ベクレルとなり貯蔵されると報告した。福島イノベーション・コースト構想で浜通り各地に研究センターなどハコモノが次々と建設されている。ロボット産業拠点や洋上風力発電には軍需産業も関連していることなども示した。最後に昨年8月に仮設焼却炉で働いていた元作業員が起こした労働審判申し立てについて触れ、作業員の深刻な被ばく状況にも言及されました。

 放射能ゴミの処理に関しても「原発事故被害の見えない化」が強硬に行われていることを痛感し、情報を的確に分析し問題点を明らかにして、反対の声を上げ続けている和田さんから多くを学んだ学習会となりました。

 昼食後は井戸謙一弁護団長から当日の争点の説明があり、福島地裁へ移動。地裁前集会では県内外でいのちを守る働きを続けている方々から日頃の思いや裁判への期待が述べられました。

 午後2時30分から行われた裁判については、弁護団報告または弁護団ブログをご覧ください。今回の原告意見陳述では事故後、自分や家族、勤務校の生徒に表れた体調の変化と不安な気持ちが述べられました。そして、少しでも被ばくを軽くするため経済的負担を負いながら水や食品は県外産を購入していても「空気だけは買えません」「直ぐに避難したかった、今も避難したい。その気持ちはあの日から変わりません」との声も法廷に響きました。

 裁判後「裁判所が内部被ばく問題について本腰を入れ始めた」との弁護団報告に、参加者一同気が引き締まる思いになりました。次回19回裁判は5月15日(水)、第20回裁判は7月9日(火)です。傍聴席を満席にして裁判長へいのちに向き合う判決を求めるアピールをしましょう。最後に、当日提出された「公正な裁判を求める署名」は1,075筆。総計で62,597筆となりましたこと報告します。ご協力に深く感謝し、引き続きのご協力をお願いいたします。

弁護団ブログ:http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.com

2019年1月19日土曜日

第18回子ども脱被ばく裁判のご案内(2019年2月20日)

子ども脱被ばく裁判原告、支援者のみなさま

日頃より子ども脱被ばく裁判をお支えくださり、ありがとうございます。2月20日第18回期日の予定をお知らせします。午前中の学習会には和田央子さんをお迎えし、放射能ゴミ焼却についてお話を伺います。福島原発事故がもたらした緊急課題のひとつです。ぜひご一緒に学びましょう。開廷は午後2時です。今回の争点は下記のようになります。傍聴席を満席にして原告団、弁護団を応援しましょう。当日の集会は福島市民会館ではなく『ラコパ福島』です。ご注意ください。また公正な裁判を求める署名は継続しています。期日1週間前までに井戸弁護士宛に送付ください。どうぞよろしくお願いします。

子ども脱被ばく裁判の会原告代表 今野寿美雄
子ども脱被ばく裁判の会共同代表 水戸喜世子 片岡輝美

■第18回子ども脱被ばく裁判プログラム
■日時:2019年2月20日(水)午前11時から午後5時まで
■会場:ラコパ福島 〒960-8105 福島県福島市仲間町4-8 Tel.024-522-1600


■裁判:福島地方裁判所 〒960-8512 福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
■日程
11:00 開会のあいさつ・署名報告
11:15 講演「日本政府は放射能ゴミをどのように処理しているか」放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会 和田央子さん
12:30 昼食と休憩
13:15 地裁へ移動開始
13:45 地裁前集会
14:00 傍聴券配布
14:15 入廷
14:30 開廷・意見陳述
15:30 閉廷
16:00 記者会見
16:15 本日の裁判と今後について意見交換
16:45 閉会のあいさつ

■弁護団から 第18回口頭弁論期日の予定
1 今回、原告側は次の準備書面を出す予定です。
(1) 福島県内で小児甲状腺がん患者が272名に達していたことが判明したことについての主張
(2) LNTモデル、UNSCEAR2012年報告、大瀧慈論文(広島原爆被爆者における健康障害の主要因は放射性微粒子被曝であることを明らかにした論文)についての主張
(3) 被告国、被告福島県の被ばくに関する法的規制等(1mSv規制、放射線管理区域規制、クリアランスレベル規制等)に関する主張に対する反論
(4) その他
2 今回も原告の意見陳述を予定しています。
3 被告国は、不溶性放射性微粒子についての原告側の主張に対する反論をすると述べていましたが、今回の期日には間に合わないかも知れません。
引き続き、注目していただきますよう、お願いいたします。

■学習会講師:和田央子さんプロフィール
2001年、夫と東京より鮫川村に移住。2003年すぐそばの塙町に空き家を借りて転居。2011年原発事故で1週間避難したのち福島に戻り、避難者ペット支援に奔走する。2012年9月、鮫川村で指定廃棄物の焼却実験炉建設計画を知り反対運動を行う。環境省による反対住民の排除や情報隠蔽、ごまかしなどデタラメぶりを目の当たりにし、放射能汚染ゴミ処理のあり方に疑問を抱き、この問題を追い続けている。

2018年12月17日月曜日

第17回子ども脱被ばく裁判報告と感謝





第17回口頭弁論期日・弁護団報告 (2018/12/11)

1 2018年12月11日14時30分から、子ども脱被ばく裁判第17回口頭弁論が開かれました。原告側から準備書面(62)、(63)、(64)が提出されました。原告準備書面(62)は、既に提出されている国の第10準備書面に対する反論です。国は同準備書面において、「原告らの主張する『年1mSvの被ばくであっても、無用な被ばくによる健康被害を心配しないで生活する権利』なるものは、国賠法の救済が得られる具体的な権利ないし法的利益とはいえない」、「一般的、抽象的な健康リスクに対する不安感のみをもって国賠法の救済が得られる権利ないし法的利益があると認めることができない」、損害と請求原因との因果関係が明らかでない、そして「消滅時効の援用」についていろいろと述べています。これに対して、原告準備書面(62)では、抽象的な危惧感や不安感を権利ないし法的利益として主張しているのではなく、被ばくを避けて、健康に生存・生活するという個人の基本的な権利(健康13条、25条)が住民の健康と福祉を守る責務を有している被告らの行為によって意図的に侵害されたことで現実的に発生している将来への健康不安という精神的侵害の賠償を求めているものであること、消滅時効については時効の起算点が,「被害者において,加害者に対する賠償請求が事実上可能な状況の下に,その可能な程度にこれらを知った時」であり最判も「被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を現実に認識した時をいう」としていることを明確に説明しています。
また、原告準備書面(63)では、河野益近氏による調査を紹介し、福島県内の土壌中の放射性セシウムが不溶性微粒子の形態で存在し、県内子ども原告らが今後も福島県内に住み続けた場合に、同微粒子の摂取による健康被害を受けるリスクがあることを立証しています。
そして、原告準備書面(64)では、SPEEDIシステムの運用について、関係道府県と文科省、システム運営を受託する(財)原子力安全技術センター関係者らが定期的に連絡会議を持っていたこと及びそこで議論されていた内容を説明し、あわせてSPEEDIシステムは、原子力災害応急対策の基幹システムとして法令上も位置付けられていたこと、また、端末を設置していた被告福島県は災対法によってその情報を住民の防護対策のために利用しなければならず、被告福島県のSPEEDI情報の取り扱い(メール廃棄を含む)は、法令上の義務違反にあたることを説明しています。

2 基礎自治体(福島市、会津若松市、田村市、郡山市、伊達市)から準備書面が提出されました。原告準備書面(61)で「各市町村内の総合病院の患者数の推移を調査し」その結果を明らかにすることを要望していますが、いずれも、その要望に応じる必要はないという内容です。

3 今回、国から第11準備書面が提出されました。原告準備書面(55)において、「放射線管理区域規制の趣旨について」「20mSv通知の趣旨について」「低線量被ばく、内部被ばくの危険性について」の3項目ついて、国に対して求釈明をしていますが、これに対し国が第11準備書面において回答して来ました。

4 また、今回の期日において山下俊一氏の講演内容がおさめられているDVDが、裁判官、原告の皆さん、原告代理人、支援者、被告代理人の前で再生されました。1時間を超える内容でしたが、後半の福島の住民の皆さんからの質問に対して「全く影響はありません。」という断言を連発していました。

5 山下俊一氏のDVDの再生、原告代理人の提出書面の要旨の説明に引き続き、原告であるお母さんからの意見陳述がありました。裁判官の皆さんにこのお母さんの気持ちが伝わっていると確信しました。
以上です。


第17回子ども脱被ばく裁判期日報告

子ども脱被ばく裁判の会共同代表 水戸喜世子

 12月11日午前11時から第17回目の口頭弁論と、それに先立って恒例の学習会が行われました。今回も遠方各地からの参加をいただき、ありがとうございました。日頃カンパや署名活動、お話会の開催などを通じて温かいご支援をいただき、お蔭で私どもの訴えは着実に浸透していることを実感しております。今回提出の署名数は 1,270筆、延べで61,518筆となりました。ここに日頃のご支援に深く感謝申し上げ、さらなるご支援を心よりお願い申し上げます。

 今回の学習会ではそろそろ裁判での論点もほぼ出尽くしたという事で、井戸弁護団長にこれまでの振り返りをしていただきました。それを聞いて改めて、この国 前代未聞の被害に対する前代未聞にならざるを得ない裁判にかける弁護団の意気込み、粘り強い追及に改めて感銘を受けました。また弁護団を支える研究者のご支援にも感謝の思いを一層深く致しました。講演を補足して、原告の子どもが通う学校周辺の通学路の土壌をふるいにかけ、微細粒子を測定して、放射性セシウム物質の98%が不溶性粒子の形で存在していることを検出された河野益近氏の発言もいただきました。

 午後からは福島地裁前に、支援の旗がはためき、各地参加者から力強い取り組みの報告や支援の熱い思いを交流し合ったのちに、傍聴に臨みました。法廷のやり取りの詳細については弁護団報告に譲るとして、法廷で1時間余に及ぶDVD上映が実現したことは私自身にとっても初体験でした。それは事故直後の3月21日に福島県放射線健康リスク管理アドバイザーの資格で山下俊一氏が福島市で行った講演を録画したもので、画面の中で繰り返し語られていたのは毎時100μSvでも心配ないという耳を疑うような内容でした。山下医師の冗談を交えた優しい語り口に、張りつめた思いで会場に詰めかけてきている聴衆からは、ホッとしたような笑い声さえ漏れる画面。こうやって、人びとから警戒心を解き、マスクを外させ、 子どもを外出させ、被ばくを推進する結果を生み出したのかと思うと、怒りを抑えることができません。8年近くの時が流れ、子どもの健康被害が顕在化する中で、山下発言の醜悪性が法の裁きを受ける時が遂にやってきたのです。

 この日の法廷で、深い感銘を与えたのは原告のお母さんの陳述でした。「もう7年も経つのに、なぜこんなに悲しくなるのか?」と声を詰まらせて始まった陳述は、 不安、恐怖、差別と母娘で格闘して過ごした年月を振り返り「この悲しみは癒えることも、消える事もありません」と結ばれました。温かい励ましの拍手が法廷に響きました。これこそが裁かれるべき真実であると誰しもが思いました。

 最後に 井戸弁護団長の講演内容の概略をまとめておきます
1,門前払いを回避するための弁護団の尽力について。
 今は亡き澤野伸浩さんとそのお弟子さん、今中哲二さんらのご協力により、「安全な地域」を米国NNSA測定のデータ、文科省の航空機モニタリングデータを元に地図にして可視化し、特定できたこと。
2,裁判所との攻防の末、約2年後にやっと実質審議に入ることができたこと。
3,国の言う「100mSv以下では、被ばく由来と言える確率的健康被害は見えてこない」への反論として、権威ある幾つかの論文や崎山比早子医師、郷地秀夫医師の意見書を提出し、低線量被ばく、内部被ばくのリスクの重大さを強調してきた。
4,現在も子どもの環境に不溶性の放射性微粒子が土ほこりに付着する形で存在していることが実測により明らかになった。体外に排出し難くなり、ICRPの生物的半減期の考え方は適用できず、内部被ばくのリスクは、ICRPの考え方よりも当然大きくなるはずである。
5,国の主な反論は、「精神的苦痛」は法的保護に値しない。すでに事故発生から3~5年も経過しており、時効である(消滅時効)。これらについて、弁護団では、詳細な反論書を行なっている。不溶性放射性微粒子の問題については、これから国側から準備書面が出される。
 概ね論点についての原告側の主張立証は終了したと言えるが、これまでに 被告側からまともな反論は出てきていない。