2020年7月3日金曜日

子ども脱被ばく裁判第27回期日のご案内

子ども脱被ばく裁判原告、支援者のみなさま

子ども脱被ばく裁判第27回期日のご案内です。井戸弁護団長のアピールのように、弁護団は並々ならぬ奮闘により作成された最終準備書面を携えて結審に臨みます。新型コロナウイルスの感染拡大により制限があるなかでの期日となりますが、福島地裁で、全国各地から本裁判につながってください。最後の事務局からのお知らせにもお目通しを願いします。


■子ども脱被ばく裁判第27回期日のご案内■
□日時:2020年7月28日(火)12:00〜17:30
□会場:裁判:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 
     学習会・記者会見・報告集会:福島市市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号
□日程:
12:00 福島地裁前集合・アピール
13:00 傍聴券配布
13:30 開廷(閉廷時刻は7月10日の進行協議で決定次第、お知らせします)
13:45 学習会「内部被ばくの危険性〜最新情報を語る」講師:河野益近氏、青木一政氏
16:00 記者会見
16:20 報告集会
17:30 閉会

■弁護団アピール〜結審に向けて 共同弁護団長 井戸 謙一 2020年7月2日
弁護団はさる7月1日、最終準備書面を完成させ、福島地裁に提出しました。約6年間にわたった私たちの訴訟活動の集大成として取り組んだ結果、300頁を超える大部なものになりました。書き上げたのは弁護団ですが、その内容は、郷地先生、河野先生をはじめとする専門家の方々のご指導、メディア関係者及び多数の市民の方々からお寄せいただいた貴重な情報の数々、そして直接の被害にあわれた原告の方々からの胸の詰まる多くの経験談等をまとめたもので、この裁判に関係していただいた皆様方の力の結集による成果です。

福島原発事故後のこの国の被ばく防護政策は、約1世紀にわたる多くの被ばく者の犠牲の上に積み上げられてきた国際的な被ばく防護の常識を踏みにじり、後退させるものでした。福島原発事故による被ばく被害はないものと決めつけられ、被害者は切り捨てられました。被ばく問題は多岐にわたり、この裁判で取り上げた問題点は、その一部に過ぎません。しかし、被ばく被害の軽視、無視、被害者切捨ての風潮がいよいよ強まっているこの国で、それに抗った多くの人たちが確かに存在し、裁判という手段を使って、被ばく被害者の権利と被害の実相を訴え続けた事実を記録として残すことは、歴史に対する責任であると考えます。私たち弁護団は、そういう思いで最終準備書面を書き上げました。7月28日の口頭弁論期日は、コロナ禍の中で傍聴人数が制限され、支援の方々の行動予定も難しいものになっていますが、節目の結審の日ですので、多くの方に見守っていただきますよう、お願い致します。以上

■学習会講師紹介
□河野益近氏:専門は環境放射能、放射線計測、核計測を応用した極微量元素分析。第一種放射線取扱主任者。「子ども人権裁判」原告が通学する環境の放射線測定に協力、助言。現在はホットパーティクル(セシウムボール)の調査に力を注ぐ。

□青木一政氏:福島老朽原発を考える会(フクロウの会)メンバー。ちくりん舎(NPO法人市民放射能監視センター)副理事長。福島原発事故後は子どもの尿検査やリネン法による空間線量の測定を継続。最近はバイオマス発電による環境汚染に警告する活動を行っている。

■【重要!事務局からのお知らせ】
・福島地裁の判断で今回の傍聴者は「10名程度」となります。傍聴希望の方は、7月25日まで事務局<kodomo2015-info@oregano.ocn.ne.jp>にご一報くださり、当日は傍聴券抽選に並んでください。可能であれば、これまで取材してきたフリージャーナリストや支えてくださった支援者を優先にしたいと思いますが、この10名には本裁判支援者以外の一般傍聴希望者も含まれますことも、ご了解ください。
・裁判と並行して学習会を開きます。講師お二人には最近の研究や調査から明らかになったことを報告していただきます。ご期待ください。
・当日、学習会から報告集会までIWJによるツイキャス配信を行います。視聴者の質問も受け付けます。福島市までお出でになれない方は、ぜひ配信を通じてご参加ください。




2020年3月10日火曜日

第26回子ども脱被ばく裁判期日報告と感謝

子ども脱被ばく裁判につながるみなさま

 3月4日(水)、福島地裁で行われた子ども脱被ばく裁判第26回公判に多数ご参加くださり、心より感謝申し上げます。今にも雨や雪が降りそうな寒さでしたが、12時より始まった地裁前アピールには80名ほど集まり、通路を確保するために両脇に長い列ができました。諸裁判の原告や支援者より連帯と激励のアピールをいただき、1678筆の署名を持って地裁に入る原告団を拍手と声援で送りました。60席の傍聴券に103名が並びました。福島の支援者のためにとご自身の傍聴券を譲ってくださった方々、また知り合い同士が裁判の前半と後半に分かれて傍聴した多くの方々に心より感謝致します。

 以下、片岡の個人的な感想も含め当日の法廷の様子を報告します。長文容赦ください。
 法廷に現れた山下氏は傍聴席を見ることなく着席し裁判が始まりました。冒頭約40分間、スライドを使って、被告国と県の代理人が質問しながら、山下氏が主張してきたことの説明がありました。その後90分に亘る尋問で原告代理人6名は、福島原発事故後の山下氏の発言の矛盾を次々と指摘。あの時は緊急時であり、パニックを起こしていた県民を鎮めるために、放射線の危険性は敢えて省き単純明快な説明したが、それは意図的ではなかったと述べる一方、一部自分が発した情報や発言の誤りを認めました。

 山下氏が主張するクライシスコミュニケーションは緊急時には相手の意見を聞く必要はなく、安心させることが目的です。しかし、本来のクライシスコミュニケーションは緊急時だからこそ情報を開示し安全を確保することであり、コミュニケーションは双方向のやりとりが大前提です。そして、なにより科学者の使命は、科学的な検証によって得られる事実が、例えリスクのあることであっても伝え、この社会に役立ていのちを守っていくことだと私たちは考えます。緊急時だからこそ、正しい情報を私たちは求めるのです。しかし、山下氏は独自のクライシスコミュニケーションを展開し、それが家族や地域社会の中に大きな分断を持ち込み、私たちは今でも苦しんでいます。本人は科学的根拠に基づいたものだったと主張しても、世界的権威の「ニコニコ発言」は究極的なパターナリズムでしかないと言えます。
※パターナリズム(英: paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいう。 親が子供のためによかれと思ってすることから来ている。ウィキペディアより

 一部、自分の誤りを認めた山下氏が強く否定したのは「小児甲状腺がんの多発」について、弁護団が追求したときでした。大きな声で「多発ではない、多数見つかっただけだ」と答えました。他の自分の言動の誤りを認めたとしても、甲状腺がんだけは認めるわけにはいかない。認めてしまったら、原子力政策の根幹を揺るがすことを意味するのだろうと想像していました。声を荒げることがないイメージの山下氏だっただけに、その場面はとても印象的でした。

 弁護団は、山下氏の言動の矛盾を突き付け渾身の追求を続け、その指摘を受け一部誤りを認め「言葉足らずの説明だった。誤解を招いたなら申し訳ない」と謝罪の言葉を述べましたが、首筋が徐々に赤みを帯びていく様子が最後列の傍聴席からも見て取れました。原告席からは唇が震え始めた様子が見えたとのことです。

 最後に被告代理人の「どのような思いでリスクアドバイザーを務めたのか」との追加質問に、山下氏は次のような発言をしました。「長崎の原爆被爆者、チェルノブイリ事故の被災者に接した経験を福島に活かすというのは運命的だと感じた。福島県民に一番伝えたかったことは『覆水盆に返らず』ということだった」。その発言を受けて被告代理人から、すぐさま「リスクアドバイザーとして県民の健康を願っていたのですね」とフォローがあり「その通りです」と返答。彼の心の中にはあったのは、県民ではなく「自分の運命」と「覆水盆に返らず」でした。2011年5月5日、喜多方市で行われた山下氏講演会で聞いた結びの言葉「今は国家の緊急時。国民は国家に従わなくてはならないのです」から何も変わっていない、被災者被害者の訴えとはかけ離れた9年間を、彼は過ごしていたことが分かりました。

 傍聴券を入手できなかった参加者は市民会館へ移動し、水戸喜世子共同代表が担当する学習会に参加しました。
最初に、2月29日と3月1日に行われた「ふくしまはオリンピックどころでねえ」のスライドと報告を行いました。ちょうど学習会に参加した武藤類子さんからも詳しくお話を伺いました。次ぎに井戸弁護士のスライドを使って「被ばくの仕組み、不溶性微粒子の存在と健康影響、多岐に渡る放射線健康被害、司法は内部被ばくとどう向き合ってきたのか」を説明。水戸代表の説明に河野益近氏が加わり、さらに分かりやすい学びとなりました。最後は東電刑事訴訟のDVD上映でした。参加者は30名弱となりました。裁判とほぼ同じ3時間で終了。武藤さんや河野さんのお話を直接伺うことができたと、参加者からも好評でした。

 裁判終了後、傍聴者は市民会館へ移動し学習会参加者に合流し、弁護団報告と記者会見、意見交換が行われました。闘い抜いた弁護団からは追求の焦点や法廷で明らかになったことなど、詳しい報告がありました。また支援者からは最終弁論に向けて弁護団に期待と要望が出されました。報告集会の模様はIWJの動画で本日3月10日夕方6時より、配信になります。また支援団・脱被ばく実現ネットからは既に配信されています。

 フリージャーナリストの粘り強い取材に感謝いたします。今回は全国メディアの取材もありましたが、私が把握している県内メディアは1社でした。今野寿美雄弁護団代表は期日毎に記者クラブに案内を送り、ここ数回は弁護団による事前記者レクも行いました。このように県内メディアの動きがないことは「敢えて取材しない」姿勢の表れではないかと考えられます。安心神話を牽引する山下氏や鈴木眞一氏の出廷は、オリンピックによる復興騒ぎに逆行することなのでしょう。

 6年に近く行われた口頭弁論の最終証人尋問に山下俊一氏が立ったことは、東電福島第1原発事故被害の原点に戻ったことを意味します。この裁判はいくつもの「難しいかもしれない…」と思えることを実現させてきました。これは弁護団の奮闘なしには為し得なかったことです。法廷で正義を実現させることだけに、邁進してきた弁護団の結束力と弁護士魂に心から敬服します。どれほどの感謝の言葉でも不充分だと感じています。弁護団は今月には合宿を開き、最終弁論に向けて、さらなる力を結集していきます。
 原告のみなさんがいなければ、この裁判は成り立ちませんでした。支援者の代表として原告のみなさんの勇気ある決意に深く感謝いたします。子どものいのちを守り権利を回復するため、あの時の、そして今もなく続く苦しさ悔しさを述べた意見陳述の姿が忘れられません。そして、支援者のみなさまの本裁判への揺るぎない期待と信頼、そして力強い支えなしには、ここに到達することはできませんでした。支援団独自の動き方、個々人の支援の仕方から事務局は多くを学ばせていただきました。深く感謝申し上げます。

 次回はいよいよ最終弁論となります。期日は7月28日(火)午後1時30分より。当日の日程は後日ブログなどでお知らせします。またこの日が「公正な裁判を求める署名」の最終提出となります。今回の提出により82142筆が裁判所に提出されました。あと少しのご協力をお願いいたします。

 井戸謙一弁護団長から詳細な報告が出されました。また支援団のブログやメディア報道も合わせてご覧ください。第21回期日以降、各支援団が持ち回りで会報「道しるべ」号外を編集発行しました。3月発行された会報「道しるべ第13号」は第21回から第23回期日で配付された資料の「号外特集号」です。また会報「道しるべ第14号」は第24回、25回の配付資料と第26回報告の「号外特集号第2弾」として4月半ばの発行を目指します。証人尋問の総まとめとしご活用ください。近日中に、道しるべ第13号をブログにアップします。
 
 ぜひこの報告や報道で、今回の法廷で明らかになったことを広め、お近くの方と共有してください。それが弁護団の熱い思いを呼応することになります。恐らく東京五輪真っ最中の開廷になりますが、7月28日、みなさまと福島地裁で会えることを心より楽しみにしております。



子ども脱被ばく裁判第26回口頭弁論期日のご報告 
弁護団長 井戸 謙一

 さる3月4日、山下俊一氏の証人尋問が行われ、この裁判の終盤の大きな山を越えました。弁護団としては、万全の準備をして臨んだつもりでしたが、振り返れば反省点が多々あります。しかし、獲得した成果も大きかったと考えています。
 山下氏は、尋問前に提出書面で、自分が福島県民に対してしたのは「クライシスコミュニケーション」であり、住民のパニックを抑えるためには、わかりやすい説明が必要だったのだと正当化していました。しかし、いくら緊急時であっても、住民に嘘を言ったり、意図的に誤解を誘発することが正当化されるいわれはありません。私たちは、山下氏がした具体的な発言の問題点を暴露することに重点を置きました。
 山下氏は、福島県内の講演では、ゆっくりと余裕を感じさせる話しぶりでしたが、法廷では、語尾が早口で消え入るように小さな声になり、緊張感が窺えました。尋問によって山下氏に認めさせることができた主な点は、次のとおりです。

(1) 100ミリシーベルト以下では健康リスクが「ない」のではなく、正しくは「証明されていない」であること

(2) 国際的に権威ある団体が100ミリシーベルト以下の被ばくによる健康影響を肯定しているのに、そのことを説明しなかったこと

(3) 「年100ミリシーベルト以下では健康被害はない」との発言は、単年だけの100ミリシーベルトを前提としており、連年100ミリシーベルトずつの被ばくをする場合は想定していなかったが、住民には、連年100ミリシーベルトずつの被ばくも健康被害がないとの誤解を与えたこと

(4) 「1ミリシーベルトの被ばくをすれば、遺伝子が1つ傷つく」と話したのは誤解を招く表現だったこと、すなわち、実効線量1ミリシーベルトの被ばくをすれば、遺伝子が1つの細胞の1か所で傷がつき、人の身体は37兆個の細胞でできているから、全身で遺伝子が37兆個所で傷つくことになるから、自分の発言は、37兆分の1の過小評価を招く表現だったこと

(5) 子どもを外で遊ばせたり、マスクをするなと言ったのは、リスクとベネフィットを考えた上のことだったこと(すなわち、子どもを外で遊ばせたり、マスクをしないことにはリスクがあったこと)

(6) 水道水にはセシウムが全く検出されないと述べたのは誤りだったこと

(7) 福島県民健康調査で福島事故後に生まれた子供に対しても甲状腺検査をすれば、多数見つかっている小児甲状腺がんと被ばくとの因果関係がわかること

(8) 鈴木眞一氏がいうように、福島県民健康調査で見つかり摘出手術をした小児甲状腺がんには、手術の必要がなかったケースは存在しないこと、

被ばく医療の専門家が住民に対してこれだけ多数の虚偽の説明をした目的は何だったのか、山下氏を利用した国や福島県の意図はどこにあったのか、今後、これらを解明していかなければなりません。弁護団は、これから最終準備書面の準備にかかります。裁判は、次回の7月28日午後1時30分からの弁論期日で結審します。年内か年明けには判決が言い渡される見通しです。最後までご支援をお願いします。2020年3月7日 以上

2020年3月10日
子ども脱被ばく裁判の会 共同代表 片岡輝美

2020年2月19日水曜日

第25回子ども脱被ばく裁判期日報告と第26回期日のご案内

子ども脱被ばく裁判をご支援くださるみなさま


 2020年2月14日、子ども脱被ばく裁判第25回口頭弁論が開かれました。福島地裁前集会が始まる1時間以上前から、Johnny & friendsのおふたりがウエルカム演奏で参加者たちを和ませてくださいました。ありがとうございます。配付資料120部はほぼ無くなりました。それほどの参加者が全国各地から集まってくださったことも深く感謝申し上げます。地裁前アピールは生業裁判の現状報告や原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)が間もなく予定している「福島はオリンピックどこでねぇ」アクションのアピール、またジャーナリストの立場から発言がありました。傍聴券を求める列は今まで最も長くなったと思われます。傍聴券を入手できなかった方のために、多くのみなさんが自発的に譲ってくださいました。傍聴できなかった支援者のみなさんは、福島駅前でのチラシ配布とアッピールに1時間、地裁と市役所周辺で横断幕を持ち、道行く人々に、現在鈴木眞一氏の証人尋問が行われていることをアピールしてデモ行進すること1時間と、法廷への連帯行動をとってくださいました。心より感謝申し上げます。

 法廷でのやりとりについては、下記の井戸弁護士の報告とIWJによる報告集会の録画をご覧ください。弁護団が詳細な報告、傍聴者からの質問や意見などが録画されています。

 当日、裁判所に256筆の署名が提出され、総数は80,464筆となりました。ありがとうございます。最終弁論が最後の提出となります。あと4ヶ月ほどのご協力を心よりお願い致します。

  3月4日、第26回期日を迎え、いよいよ山下俊一氏の証人尋問が行われます。東京電力福島第一原子力発電所事故後、福島県内をくまなく回り、放射能被ばくは心配無用と説いた人物です。このことにより、この国の歴史上かつてない核災害が起きたにもかかわらず、子ども達は無用な被ばくを強いられました。弁護団は国の責任を最後の口頭弁論で追及します。そして、夏頃の最終弁論を経て、2020年末または年明けに判決が出ます。

 証人尋問に備えて、私たちは全国に緊急カンパをお願いさせていただきましたが、目標額を遥かに上回ることができました。改めて責任の重大さを感じつつ、緊急カンパの終了をお伝えいたします。寄せられましたご厚意は、大切に用いさせていただきます。


◆子ども脱被ばく裁判第26回期日のご案内◆
日時:2020年3月4日(水)12:00〜19:00
裁判:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
報告会:福島市市民会館第2ホール 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
12:00 福島地裁前集合・アピール
12:30 傍聴券抽選開始
13:30 開廷 証人尋問 山下俊一氏
17:00 閉廷
17:30 記者会見
18:00 報告集会
19:00 終了


◆第25回口頭弁論期日報告◆           
弁護団長 井戸 謙一
 2020年2月14日、第25回口頭弁論期日では、注目の鈴木眞一氏証人尋問が行われました。原告側60分、被告側60分の持ち時間制で行われ、限られた時間で有効な回答を引き出すことが求められました。
 私たちは、次の4つの目標を立てました。①鈴木氏が甲状腺摘出術をした約180例のケースは、いずれも手術が必要だったケースであり、過剰診断、過剰治療ではないこと、したがって、今後、福島県民健康調査を縮小すべきではないという鈴木氏の意見をはっきりと述べてもらうこと、②福島県民健康調査で多数の甲状腺がん患者が見つかったのはスクリーニング効果であり、福島県で小児甲状腺がんが多発しているものではないという鈴木氏の主張が不合理であることを裁判所に認識させること、③経過観察に回した子供たちの予後を把握せず、福島の子ども達から発生した甲状腺がんの総数を明らかにしない点に、福島県民健康調査の闇があることを明らかにすること、④被ばくと甲状腺がんの因果関係を否定する鈴木氏の判断に合理性がないことを明らかにすること、以上です。
 鈴木氏は、①について、自分が執刀したすべてのケースにおいて、手術が必要だったこと、福島県民健康調査は今の「サイズ」で継続すべきことを明言しました。②については、「福島で多発していないとすれば、摘出術が必要な子供が全国で1万2000人以上存在する計算になるがその子供たちを救わなくてよいのか」という質問に対し、回答を言い淀んでいました。鈴木氏が、本音では、手術を要する子供が全国にそんなにいるとは思っていない、逆に言えば、福島で多発していると思っていることを裁判所に感じ取っていただけたのではないかと思います。③では、鈴木氏がいわき市や会津若松市の病院でも甲状腺の摘出術をしていること、その症例は福島県民健康調査の件数に入っていないこと等が明らかになりました。福島県民健康調査検討委員会は、甲状腺がんの悪性若しくは悪性疑いの数を237人と報告していますが、それ以外に甲状腺がんにり患した子どもがどれだけの人数隠されているのか、闇がいよいよ深くなったと思います。④については、鈴木氏はそもそも複数の考え方が示されている問題について、そのうちの一つの考え方に固執しているにすぎないこと、そもそも悪性若しくは悪性疑いの総数が明らかにされていないのですから、被ばくとの因果関係について適切な判断ができるはずがないこと、それらのことを浮き彫りにして終わりました。
 60分では時間が全く足らなかったというのが率直な感想です。しかし、制約がある中での一定の成果も獲得できたと思います。次回の山下俊一氏の尋問は90分間です。今回の経験を踏まえて、次回の戦略を立てたいと思います。引き続き、ご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。

2020年2月2日日曜日

第24回子ども脱被ばく裁判報告と第25回裁判のご案内

◆第24回子ども脱被ばく裁判の報告◆ 
子ども脱被ばく裁判の会共同代表 水戸喜世子
 今年最初の口頭弁論(第24回)が1月24日福島地裁でありました。あいにくの雨にもかかわらず、回を重ねるごとに新しい仲間が増えつづけています。各地からのご参加に心よりお礼を申し上げます。
 この日の法廷の主題は、2人の原告さんの本人尋問を通して、国の対応のでたらめさを浮き彫りにすることでしたが、被告国側の反対尋問を封じるほど、国の不誠実・不手際が浮き彫りになるものでした。詳しくは本文をお読みいただきたく思います。閉廷後は市民会館に移動して記者会見と報告会、学習会を開催しました。子ども脱被ばく裁判の今後の日程は2月14日に県民健康調査で見つかった小児甲状腺癌の手術を陣頭指揮した鈴木真一医師(2012年6月から放射線医学県民健康管理センター甲状腺部門長)の尋問、3月4日には山下俊一医師(2011,3,19福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに任命)の尋問があります。いよいよクライマックスです。
 報告会は学習会に切り替えられ、井戸弁護士から改めて裁判の経過が語られ、光前、柳原、古川、崔弁護士から証人尋問への意気込みが語られました。福島からの参加者は「山下医師への県民の怒りは別格だ」という発言があり、それを受けて光前弁護士が毎日新聞(2012,8,26)朝刊の記事を引用されました。その一部分を紹介します。
――放射線の影響をどう判断するのかーー
 ◆小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。「県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。」
――2011年5月5日喜多方市での講演会で――
『「今は国家の緊急時だから国民は国家に従わなければならない。」という言葉が科学者の言葉とは思えなかった』(片岡輝美さん談)

 国家主義とキッパリ訣別し、個人の基本的人権こそが尊ばれねばならないとした新憲法を素通りしてしまっていないでしょうか?このような人に子どもの命をゆだねるわけにはいかないと、一同心を強く引き締めた瞬間でした。学習会では熱心な提言がなされました。風が吹く日にはせめてマスクをさせて、不溶性放射性微粒子から子どもを守りたい、公害犯罪防止法を作りたい、あと2回の公判に向けて、福島での情宣活動を強化しよう、など熱気の中で各参加者の心に宿題を残し、次回に引き継ぐ形になりました。放射能禍の中で子どもをどう守っていくか、裁判の山場に向けて一層のご注目、可能な形でのご支援を心からお願いします


◆子ども脱被ばく裁判第25回裁判の日程◆
日時:2020年2月14日(金)13:30〜19:00
裁判:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
報告会:福島市市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
13:30 地裁前集合 アピール
14:00 傍聴券配布
14:50 開廷 証人尋問 鈴木眞一氏
17:00 閉廷 
17:30 記者会見
18:00 報告集会
19:00 終了
事務局からの連絡です。
1,当日の集合は13時30分に地裁前です。公正な判決を求めるアピールを行います。
2,弁護団は限られた時間内で、一言一句に神経を注いで質問に集中する必要があります。私的発言はお控えください。
3,傍聴券が外れた参加者で、街頭アピールを行う予定です。詳細は当日お知らせします。

◆第25回期日に向けて弁護団からのアピール◆ 
子ども脱被ばく裁判弁護団 井戸 謙一
 子ども脱被ばく裁判もいよいよ大詰めを迎えています。次回第25回口頭弁論では、福島県立医科大学鈴木眞一教授の証人尋問が、次々回第26回口頭弁論では、同大学副学長山下俊一氏の証人尋問が行われます。 
 私たちは、国や福島県に対し、無為無策によって子どもたちが無用な被ばくを強いられたことよって受けた「精神的苦痛」に対する慰藉を求めています。これに対し、国は、原 告らのいう「精神的苦痛」は、健康被害に対する一般的、抽象的な危惧感や不安感にすぎず、法的に保護すべき法益に当たらないと主張しています。しかし、100万人に1~2人にしか発生しないはずの小児甲状腺がんが福島県内で200人以上発生している事実は、原告らの「精神的苦痛」に科学的、事実的根拠があることを基礎づけています。私たちは、福島県民健康調査で発見された小児甲状腺患者の大部分に対して摘出手術を執刀した鈴木教授に対し、摘出の必要のないケース(過剰診療)があったのか否か、多数の小児甲状腺がん発症の原因が何なのか、被ばくと関係があるのかについて、率直なお考えをお話しいただきたいと考えています。是非、ご注目ください。以上

2020年1月17日金曜日

第24回子ども脱被ばく裁判のご案内(2020年1月23日)

いよいよ子ども脱被ばく裁判も大詰めとなってきました。次回第24回裁判は【2020年1月23日(木)】です。日時のお間違いのないように。この日はおふたりの原告が本人尋問に立ちます。傍聴席を満席にして原告を応援しましょう。
また急なご案内ですが、裁判報告集会に引き続き、会場を変えて学習会を行います。弁護団より、鈴木眞一氏を証人に迎える第25回、山下俊一氏を迎える第26回の争点について説明を伺います。また、今後の子ども脱被ばく裁判の会の活動について、意見交換を行います。引き続きご参加ください。

◆子ども脱被ばく裁判第24回期日◆
日時:2020年1月23日(木)12:30〜16:30 
会場:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
昼食・報告会会場:福島市市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
12:30 地裁前集合 アピール
13:00 傍聴券配布
13:30 裁判開始 原告2名の本人尋問 
15:00 終了後、直ちに福島市市民会館に移動し、報告集会へ。
16:00 記者会見
16:30 閉会
17:00 市民会館401号室に移動して、学習会を開催
19:00 学習会終了

◆事務局からの連絡◆
1,1月23日(木)当日の集合は、12時30分に福島地裁前です。公正な判決を求めるアピールを行います。
2,大変申し訳ありませんが、今回も裁判との並行集会は予定しておりません。市民会館301号室は午後1時以降借りていますので、そちらでお待ちください。

◆井戸謙一弁護団長アピール◆
12月19日福島地裁で第23回口頭弁論が開かれました。今回は、午前中は原告Aさん(3人の子のお母さん)の本人尋問が、午後は、河野益近氏に対する被告側の反対尋問が行われました。Aさんは、実直な口調で、最も線量が高かった2011年3月15日に子供たちを戸外に出してしまったことに対する後悔、乳児を寝かせた篭を地面に置いてしまったことに対する後悔、情報が隠蔽されたために住民の間で分断が生まれてしまった口惜しさ等を述べられ、子ども達を守るために大人は同じ方向を向いて努力するべきだと訴えました。河野証人に対する被告国の反対尋問は枝葉末節に止まり、河野証言の根幹、すなわち、ICRPが採用しているLNTモデルに従うべきこと、子どもは大人よりも放射線感受性が高いこと、福島原発事故では放射性セシウムの多くは不溶性の放射性微粒子の形状で放出され、水溶性のものも土壌粒子にトラップされて不溶性に代っていること、風や自動車の通行等によって、不溶性の微粒子やセシウムをトラップした土壌粒子が再浮遊し、子ども達が体内に取り込むリスクがあること、その場合の健康リスクは解明されていないこと等は全く揺るぐことはありませんでした。

◆第25回以降の予定◆
第25回裁判:2月14日午後2時50分 福島県立医大甲状腺内分泌学講座教授鈴木眞一氏証人尋問
第26回裁判:3月4日(時刻未定)福島県立医大副学長山下俊一氏証人尋問

2019年12月26日木曜日

第23回子ども脱被ばく裁判報告と感謝


子ども脱被ばく裁判支援者のみなさま

12月19日、第23回裁判が行われました。今回も大勢の支援者が県内外から駆けつけてくださいました。変わらぬご支援を深く感謝致します。朝9時、福島地裁前で公正な裁判を求めるアピールが行われ、熱い思いが次々と語られました。今回原告団から裁判所に提出された署名は、前回の1003筆を上回る1280筆。総計79618筆となりました。みなさんの思いがここにも込められています。ありがとうございます。裁判については井戸謙一弁護団長の期日報告をご覧ください。弁護団ブログが更新され、山下俊一氏、鈴木眞一氏への証人尋問に関する意見書などが掲載されています。また、脱被ばく実現ネットブログにも動画がアップされました。ぜひご覧ください。
■子ども脱被ばく裁判弁護団ブログ
■脱被ばく実現ネット


次回第24回裁判は【2020年1月23日(木)】です。日時のお間違いのないように。この日はおふたりの原告が本人尋問に立ちます。傍聴席を満席にして原告を応援しましょう。

事務局からの連絡です。
1,1月23日(木)当日の集合は、12時30分に福島地裁前です。公正な判決を求めるアピールを行います。
2,大変申し訳ありませんが、今回も裁判との並行集会は予定しておりません。市民会館301号室は午後1時以降借りていますので、そちらでお待ちください。

◆子ども脱被ばく裁判第24回期日◆
日時:2020年1月23日(木)12:30〜16:30 
会場:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
昼食・報告会会場:福島市市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
12:30 地裁前集合 アピール
13:00 傍聴券配布
13:30 裁判開始 原告2名の本人尋問 
15:00 終了後、直ちに福島市市民会館に移動し、報告集会へ。
16:00 記者会見
16:30 閉会

◆井戸謙一弁護団長アピール◆
12月19日福島地裁で第23回口頭弁論が開かれました。今回は、午前中は原告Aさん(3人の子のお母さん)の本人尋問が、午後は、河野益近氏に対する被告側の反対尋問が行われました。Aさんは、実直な口調で、最も線量が高かった2011年3月15日に子供たちを戸外に出してしまったことに対する後悔、乳児を寝かせた篭を地面に置いてしまったことに対する後悔、情報が隠蔽されたために住民の間で分断が生まれてしまった口惜しさ等を述べられ、子ども達を守るために大人は同じ方向を向いて努力するべきだと訴えました。河野証人に対する被告国の反対尋問は枝葉末節に止まり、河野証言の根幹、すなわち、ICRPが採用しているLNTモデルに従うべきこと、子どもは大人よりも放射線感受性が高いこと、福島原発事故では放射性セシウムの多くは不溶性の放射性微粒子の形状で放出され、水溶性のものも土壌粒子にトラップされて不溶性に代っていること、風や自動車の通行等によって、不溶性の微粒子やセシウムをトラップした土壌粒子が再浮遊し、子ども達が体内に取り込むリスクがあること、その場合の健康リスクは解明されていないこと等は全く揺るぐことはありませんでした。


次回以降の予定は、次のとおり決まりました。
第24回裁判:1月23日午後1時30分 原告本人尋問2名
第25回裁判:2月14日午後2時50分 福島県立医大甲状腺内分泌学講座教授鈴木眞一氏証人尋問
第26回裁判:3月4日(時刻未定)福島県立医大副学長山下俊一氏証人尋問
この裁判もいよいよ終盤で、重要な期日が続きます。引き続きご支援をよろしくお願い致します。
以上

2019年12月11日水曜日

第23回子ども脱被ばく裁判のご案内(2019年12月19日)

子ども脱被ばく裁判支援者のみなさま

いつも大きなご支援をいただき、感謝致します。第23回期日のご案内です。回を重ねる毎に子ども脱被ばく裁判の核心に迫っています。井戸弁護団長からは今回の焦点と今後の大きな動きについて、アピールをいただきました。年末となりご多用かと存じますが、ぜひ福島地裁にお集まりください。署名は12月12日頃まで、井戸弁護士事務所まで送付ください。引き続き署名と緊急カンパの呼びかけをお願いいたします。寒くなりますが、熱い思いを傍聴席から弁護団原告団に届けましょう。

いくつかの大切な連絡とお願いがあります。
1,当日朝9時に福島地裁に集合してください。公正な判決を求めるアピールを行います。
2,アピール後、傍聴券入手の列に並んでください。
3,くじに外れた方は片岡輝美に声を掛けてください。融通された傍聴券があれば、お渡しします。
4,大変申し訳ありませんが、今回は裁判との並行集会は予定しておりません。市民会館401号室は終日借りていますので、そちらでお待ちください。
5,傍聴席からの発言はお控えくださいますよう、お願いいたします。
6,午前中でお帰りになる方は傍聴券を片岡輝美まで渡してください。午後の傍聴に役立てます。

◆子ども脱被ばく裁判第23回期日◆
■日時:2019年12月19日(木)午前9時から午後5時頃まで
■会場:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
 昼食・報告会会場:福島市民会館401号室 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
■日程:
09:00 地裁前集合 アピール
09:30 傍聴券配布
10:10 口頭弁論期日
10:15 原告主尋問
10:55 国の反対尋問
11:25 自治体の反対尋問、再主尋問
12:00 休憩
13:30 河野益近証人 国の反対尋問
14:30 自治体の反対尋問、再主尋問
15:00 終了後、福島市民会館に移動し報告集会へ。
16:00 記者会見
17:00 閉会のあいさつ

◆井戸謙一弁護団長アピール◆
 今回は、河野益近氏に対する被告国等の反対尋問及び原告本人尋問が行われます。河野氏は、長年放射線管理の業務に従事してこられた専門家であり、福島の土壌についても詳細な調査を続けておられます。前回の主尋問では、LNTモデルの考え方に立つのがICRPの考え方であること、子どもの放射線感受性は大人よりも高いこと、福島の土壌中の放射性セシウムは98%以上が不溶性であること、福島で生活すれば風等で再浮遊した不溶性放射性微粒子を体内に取り込むこと、不溶性の放射性微粒子が体内に入って肺に沈着した場合に内部被ばくによる健康リスクについてICRPの評価は適応できないこと、健康リスクがある以上、子ども達をより汚染の少ない場所で生活させるべきこと等を証言していただきました。この河野証言を、被告国や福島県の代理人がどのように崩そうとするのかが見ものです。
 ミスター100ミリシーベルト山下俊一氏の証人尋問の実施は事実上決まっていましたが、最近、福島県民健康調査で小児甲状腺がんへの罹患が判明した子どもたちに対するがん摘出手術の大部分を執刀してきた福島県立医科大学鈴木眞一教授の証人尋問の実施も事実上決まりました。被ばくと小児甲状腺がんの多発の関係、最近横行している過剰診断論(悪さをしないがんを発見してしまっている)の当否を判断するうえで、鈴木教授のお話は極めて貴重です。この期日で、今後の具体的なスケジュールが決まると思われます。是非、ご注目ください。