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2020年2月2日日曜日

第24回子ども脱被ばく裁判報告と第25回裁判のご案内

◆第24回子ども脱被ばく裁判の報告◆ 
子ども脱被ばく裁判の会共同代表 水戸喜世子
 今年最初の口頭弁論(第24回)が1月24日福島地裁でありました。あいにくの雨にもかかわらず、回を重ねるごとに新しい仲間が増えつづけています。各地からのご参加に心よりお礼を申し上げます。
 この日の法廷の主題は、2人の原告さんの本人尋問を通して、国の対応のでたらめさを浮き彫りにすることでしたが、被告国側の反対尋問を封じるほど、国の不誠実・不手際が浮き彫りになるものでした。詳しくは本文をお読みいただきたく思います。閉廷後は市民会館に移動して記者会見と報告会、学習会を開催しました。子ども脱被ばく裁判の今後の日程は2月14日に県民健康調査で見つかった小児甲状腺癌の手術を陣頭指揮した鈴木真一医師(2012年6月から放射線医学県民健康管理センター甲状腺部門長)の尋問、3月4日には山下俊一医師(2011,3,19福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに任命)の尋問があります。いよいよクライマックスです。
 報告会は学習会に切り替えられ、井戸弁護士から改めて裁判の経過が語られ、光前、柳原、古川、崔弁護士から証人尋問への意気込みが語られました。福島からの参加者は「山下医師への県民の怒りは別格だ」という発言があり、それを受けて光前弁護士が毎日新聞(2012,8,26)朝刊の記事を引用されました。その一部分を紹介します。
――放射線の影響をどう判断するのかーー
 ◆小さながんも見つかるだろうが、甲状腺がんは通常でも一定の頻度で発症する。結論の方向性が出るのは10年以上後になる。「県民と我々が対立関係になってはいけない。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響を巡る訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなった時の最終的な被害者は国民だ。」
――2011年5月5日喜多方市での講演会で――
『「今は国家の緊急時だから国民は国家に従わなければならない。」という言葉が科学者の言葉とは思えなかった』(片岡輝美さん談)

 国家主義とキッパリ訣別し、個人の基本的人権こそが尊ばれねばならないとした新憲法を素通りしてしまっていないでしょうか?このような人に子どもの命をゆだねるわけにはいかないと、一同心を強く引き締めた瞬間でした。学習会では熱心な提言がなされました。風が吹く日にはせめてマスクをさせて、不溶性放射性微粒子から子どもを守りたい、公害犯罪防止法を作りたい、あと2回の公判に向けて、福島での情宣活動を強化しよう、など熱気の中で各参加者の心に宿題を残し、次回に引き継ぐ形になりました。放射能禍の中で子どもをどう守っていくか、裁判の山場に向けて一層のご注目、可能な形でのご支援を心からお願いします


◆子ども脱被ばく裁判第25回裁判の日程◆
日時:2020年2月14日(金)13:30〜19:00
裁判:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
報告会:福島市市民会館301号室 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
13:30 地裁前集合 アピール
14:00 傍聴券配布
14:50 開廷 証人尋問 鈴木眞一氏
17:00 閉廷 
17:30 記者会見
18:00 報告集会
19:00 終了
事務局からの連絡です。
1,当日の集合は13時30分に地裁前です。公正な判決を求めるアピールを行います。
2,弁護団は限られた時間内で、一言一句に神経を注いで質問に集中する必要があります。私的発言はお控えください。
3,傍聴券が外れた参加者で、街頭アピールを行う予定です。詳細は当日お知らせします。

◆第25回期日に向けて弁護団からのアピール◆ 
子ども脱被ばく裁判弁護団 井戸 謙一
 子ども脱被ばく裁判もいよいよ大詰めを迎えています。次回第25回口頭弁論では、福島県立医科大学鈴木眞一教授の証人尋問が、次々回第26回口頭弁論では、同大学副学長山下俊一氏の証人尋問が行われます。 
 私たちは、国や福島県に対し、無為無策によって子どもたちが無用な被ばくを強いられたことよって受けた「精神的苦痛」に対する慰藉を求めています。これに対し、国は、原 告らのいう「精神的苦痛」は、健康被害に対する一般的、抽象的な危惧感や不安感にすぎず、法的に保護すべき法益に当たらないと主張しています。しかし、100万人に1~2人にしか発生しないはずの小児甲状腺がんが福島県内で200人以上発生している事実は、原告らの「精神的苦痛」に科学的、事実的根拠があることを基礎づけています。私たちは、福島県民健康調査で発見された小児甲状腺患者の大部分に対して摘出手術を執刀した鈴木教授に対し、摘出の必要のないケース(過剰診療)があったのか否か、多数の小児甲状腺がん発症の原因が何なのか、被ばくと関係があるのかについて、率直なお考えをお話しいただきたいと考えています。是非、ご注目ください。以上