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2019年2月26日火曜日

第18回子ども脱被ばく裁判報告と感謝



第18回口頭弁論期日報告

弁護団長 井戸謙一
1 今回、原告側は次の5通の準備書面を提出しました。
(1) 準備書面65 
南相馬市立総合病院が公表した「患者数」について、その意味内容を同病院自身がホームページで公表した内容を紹介し、それを前提としても疾病が増加傾向にあることを指摘するとともに、健康被害の状況について慎重な観察と検討が必要であることを指摘したもの
(2) 準備書面66
低線量被ばく、内部被ばくについての原告の主張に対する国及び福島県の認否に対し、再反論、再批判を加えたもの
(3) 準備書面67
LSS14報を巡る議論の混乱の原因が、同論文がモデル選択を完遂しなかったことにあることを指摘し、これを完遂すれば、LNTモデルが最も当てはまりの良いモデルであることを主張するとともに、LNTモデルの射程は外部被ばくに止まり、内部被ばくには及ばないこと、原爆被害者の健康被害も、放射性微粒子による内部被ばくを考慮しないと説明できないことを指摘したもの
(4) 準備書面68
国は「LNTモデルは科学的に実証されていない」と主張しているが、これは誤りであり、科学者が証明しようとしてきたのは閾値の存在であり、いまだに閾値が存在することが証明されていないことを指摘したもの
(5) 準備書面69
福島県の甲状腺検査サポート事業で医療費を受給した患者の数を考慮すると、福島県内における小児甲状腺患者の発生数は少なくとも273人に及ぶことを指摘し、小児甲状腺患者発生の実態を把握、公表しようとしない福島県の対応を批判したもの

2 被告側は、いわき市から簡単な準備書面が出ましたが、被告国からは準備書面は提出されませんでした。不溶性放射性微粒子についての国の主張は、次回に提出されるものと思われます。

3 裁判所は、本件訴訟の中心論点が内部被ばく、とりわけ不溶性放射性微粒子による内部被ばくの問題であるという認識を示し、原告側に対し、原告の多岐にわたる主張におけるこの問題の位置づけを明確にするように求めました。そして、次々回には主張整理を終えるとともに、人証の採否を決定し、次々々回からは、証人尋問に入りたいという意向を示しました。

4 裁判所は、内部被ばくの問題について本腰をいれて取り組もうという姿勢を示され、勇気づけられました。次回口頭弁論期日は5月15日午後2時30分、次々回は、7月9日午後2時30分と決まりました。いよいよ、秋からは証人尋問に入ることになりそうです。

以上
第18回子ども脱被ばく裁判期日報告
共同代表 片岡輝美
第18回子ども脱被ばく裁判期日の2月20日、福島市・ラコパ福島には福島県内だけでなく宮城県や関東、関西からの支援者40名が集まりました。

 午前中の学習会では「日本政府は放射能ゴミをどのように処理しているか」をテーマに、和田央子さん(放射能ゴミ焼却を考えるふくしま連絡会)から以下のような報告を受けました。

 除染された草木など可燃物を焼却する仮設焼却炉は県内に28基。相馬市、広野町、富岡町、葛尾村、浪江町など福島県内18市町村に一兆円以上を投入して建設され3〜5年程度で解体される。その受注業者は原発メーカーとゼネコンであり、原発建設、除染、廃棄物処理、廃炉、中間貯蔵施設、復興事業で同じ大企業が儲けている現実が見えてくると指摘。国の責任で処分する指定廃棄物のうち8000から10万ベクレル/㎏のものは富岡町の管理型処分場に埋め立て処分となる。除染土や10万ベクレル/㎏を超える焼却灰は中間貯蔵施設へ移送され、「復興資材」として再利用されること、再利用の際に回収された放射性セシウムの濃度は最終的に数十億ベクレルとなり貯蔵されると報告した。福島イノベーション・コースト構想で浜通り各地に研究センターなどハコモノが次々と建設されている。ロボット産業拠点や洋上風力発電には軍需産業も関連していることなども示した。最後に昨年8月に仮設焼却炉で働いていた元作業員が起こした労働審判申し立てについて触れ、作業員の深刻な被ばく状況にも言及されました。

 放射能ゴミの処理に関しても「原発事故被害の見えない化」が強硬に行われていることを痛感し、情報を的確に分析し問題点を明らかにして、反対の声を上げ続けている和田さんから多くを学んだ学習会となりました。

 昼食後は井戸謙一弁護団長から当日の争点の説明があり、福島地裁へ移動。地裁前集会では県内外でいのちを守る働きを続けている方々から日頃の思いや裁判への期待が述べられました。

 午後2時30分から行われた裁判については、弁護団報告または弁護団ブログをご覧ください。今回の原告意見陳述では事故後、自分や家族、勤務校の生徒に表れた体調の変化と不安な気持ちが述べられました。そして、少しでも被ばくを軽くするため経済的負担を負いながら水や食品は県外産を購入していても「空気だけは買えません」「直ぐに避難したかった、今も避難したい。その気持ちはあの日から変わりません」との声も法廷に響きました。

 裁判後「裁判所が内部被ばく問題について本腰を入れ始めた」との弁護団報告に、参加者一同気が引き締まる思いになりました。次回19回裁判は5月15日(水)、第20回裁判は7月9日(火)です。傍聴席を満席にして裁判長へいのちに向き合う判決を求めるアピールをしましょう。最後に、当日提出された「公正な裁判を求める署名」は1,075筆。総計で62,597筆となりましたこと報告します。ご協力に深く感謝し、引き続きのご協力をお願いいたします。

弁護団ブログ:http://fukusima-sokaisaiban.blogspot.com