2020年2月19日水曜日

第25回子ども脱被ばく裁判期日報告と第26回期日のご案内

子ども脱被ばく裁判をご支援くださるみなさま


 2020年2月14日、子ども脱被ばく裁判第25回口頭弁論が開かれました。福島地裁前集会が始まる1時間以上前から、Johnny & friendsのおふたりがウエルカム演奏で参加者たちを和ませてくださいました。ありがとうございます。配付資料120部はほぼ無くなりました。それほどの参加者が全国各地から集まってくださったことも深く感謝申し上げます。地裁前アピールは生業裁判の現状報告や原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)が間もなく予定している「福島はオリンピックどこでねぇ」アクションのアピール、またジャーナリストの立場から発言がありました。傍聴券を求める列は今まで最も長くなったと思われます。傍聴券を入手できなかった方のために、多くのみなさんが自発的に譲ってくださいました。傍聴できなかった支援者のみなさんは、福島駅前でのチラシ配布とアッピールに1時間、地裁と市役所周辺で横断幕を持ち、道行く人々に、現在鈴木眞一氏の証人尋問が行われていることをアピールしてデモ行進すること1時間と、法廷への連帯行動をとってくださいました。心より感謝申し上げます。

 法廷でのやりとりについては、下記の井戸弁護士の報告とIWJによる報告集会の録画をご覧ください。弁護団が詳細な報告、傍聴者からの質問や意見などが録画されています。

 当日、裁判所に256筆の署名が提出され、総数は80,464筆となりました。ありがとうございます。最終弁論が最後の提出となります。あと4ヶ月ほどのご協力を心よりお願い致します。

  3月4日、第26回期日を迎え、いよいよ山下俊一氏の証人尋問が行われます。東京電力福島第一原子力発電所事故後、福島県内をくまなく回り、放射能被ばくは心配無用と説いた人物です。このことにより、この国の歴史上かつてない核災害が起きたにもかかわらず、子ども達は無用な被ばくを強いられました。弁護団は国の責任を最後の口頭弁論で追及します。そして、夏頃の最終弁論を経て、2020年末または年明けに判決が出ます。

 証人尋問に備えて、私たちは全国に緊急カンパをお願いさせていただきましたが、目標額を遥かに上回ることができました。改めて責任の重大さを感じつつ、緊急カンパの終了をお伝えいたします。寄せられましたご厚意は、大切に用いさせていただきます。


◆子ども脱被ばく裁判第26回期日のご案内◆
日時:2020年3月4日(水)12:00〜19:00
裁判:福島地方裁判所 〒960-8512   福島市花園町5-38 ℡024-534-2156
報告会:福島市市民会館第2ホール 〒960-8021福島市霞町1番52号  ℡024-535-0111
日程:
12:00 福島地裁前集合・アピール
12:30 傍聴券抽選開始
13:30 開廷 証人尋問 山下俊一氏
17:00 閉廷
17:30 記者会見
18:00 報告集会
19:00 終了


◆第25回口頭弁論期日報告◆           
弁護団長 井戸 謙一
 2020年2月14日、第25回口頭弁論期日では、注目の鈴木眞一氏証人尋問が行われました。原告側60分、被告側60分の持ち時間制で行われ、限られた時間で有効な回答を引き出すことが求められました。
 私たちは、次の4つの目標を立てました。①鈴木氏が甲状腺摘出術をした約180例のケースは、いずれも手術が必要だったケースであり、過剰診断、過剰治療ではないこと、したがって、今後、福島県民健康調査を縮小すべきではないという鈴木氏の意見をはっきりと述べてもらうこと、②福島県民健康調査で多数の甲状腺がん患者が見つかったのはスクリーニング効果であり、福島県で小児甲状腺がんが多発しているものではないという鈴木氏の主張が不合理であることを裁判所に認識させること、③経過観察に回した子供たちの予後を把握せず、福島の子ども達から発生した甲状腺がんの総数を明らかにしない点に、福島県民健康調査の闇があることを明らかにすること、④被ばくと甲状腺がんの因果関係を否定する鈴木氏の判断に合理性がないことを明らかにすること、以上です。
 鈴木氏は、①について、自分が執刀したすべてのケースにおいて、手術が必要だったこと、福島県民健康調査は今の「サイズ」で継続すべきことを明言しました。②については、「福島で多発していないとすれば、摘出術が必要な子供が全国で1万2000人以上存在する計算になるがその子供たちを救わなくてよいのか」という質問に対し、回答を言い淀んでいました。鈴木氏が、本音では、手術を要する子供が全国にそんなにいるとは思っていない、逆に言えば、福島で多発していると思っていることを裁判所に感じ取っていただけたのではないかと思います。③では、鈴木氏がいわき市や会津若松市の病院でも甲状腺の摘出術をしていること、その症例は福島県民健康調査の件数に入っていないこと等が明らかになりました。福島県民健康調査検討委員会は、甲状腺がんの悪性若しくは悪性疑いの数を237人と報告していますが、それ以外に甲状腺がんにり患した子どもがどれだけの人数隠されているのか、闇がいよいよ深くなったと思います。④については、鈴木氏はそもそも複数の考え方が示されている問題について、そのうちの一つの考え方に固執しているにすぎないこと、そもそも悪性若しくは悪性疑いの総数が明らかにされていないのですから、被ばくとの因果関係について適切な判断ができるはずがないこと、それらのことを浮き彫りにして終わりました。
 60分では時間が全く足らなかったというのが率直な感想です。しかし、制約がある中での一定の成果も獲得できたと思います。次回の山下俊一氏の尋問は90分間です。今回の経験を踏まえて、次回の戦略を立てたいと思います。引き続き、ご支援いただきますよう、よろしくお願いいたします。