子ども脱被ばく裁判の会 声明
遠藤東路裁判長が主文だけをそそくさと読み上げ、法壇から逃げるように立ち去り、福島地裁玄関前で人々が涙で怒りを爆発させたあの日から10日がたちました。この間、いったんは打ちのめされた原告から、子どもが無用な被ばくさせられた事実をなかったことにはさせられたくない、子どもを守るのは大人の責任だ、このまま終わらせるわけにはいかないとの声が続々と寄せられました。そして、原告団及び弁護団は、仙台高等裁判所に控訴して、子ども脱被ばく裁判の闘いを続ける決断をしました。そのことを、ちょうど10年の節目である本日、2021年3月11日に皆様に表明します。
真の復興と再生は、詳細な調査による被害の正確な把握と対策の実行、責任の明確化と謝罪を抜きにしては実現できないはずです。毒物の被害について、人類は、被害が生じるたびに規制を厳しくしてきました。ところが、この国では、福島原発事故を契機に、最悪の毒物のひとつとされる放射性物質に対する規制が大幅に緩められるという驚くべき事態が進行し、その動きは現在も続いています。
低線量被ばくや内部被ばくのリスクは無視され、「被ばくは可能な限り少なくするべきだ」という、おそらく福島原発事故前は誰もが否定しなかった被ばく問題の大原則すら捨て去られそうです。
子どもたちや将来の世代に対する責任として、小さい声であっても、この国のありように異議の申し立てを続けていく覚悟です。これからも、引き続き、ご支援をお願いいたします。
2021 年3 月11 日
子ども脱被ばく裁判の会